不動産の価格に関してのニュースなどでよく『基準地価』や『公示地価』という言葉を耳にしますが、この違いを理解している人はどれくらいいるのでしょうか?
「9月に発表された基準地価は昨年度比〇%上がりました」
などのニュースや記事でいくら上がったという部分のみに意識がいってしまいがちで実際のなにが上がったのかという所までは意識している人は少ないように思えます。
この記事では今さら人に聞けない不動産価格に関する基礎知識をご紹介します。
理解を深めて正しい情報の取得に役立ててもらえればと思います。
不動産の基準地価と公示地価とは?
基準地価と公示地価はどちらも公的機関が公表している土地の価値になります。
つまり日本各地の土地の値段です。
土地の値段は『基準地価』『公示地価』『路線価』の3つに分けられます。
同じ土地の値段を表しているものがなぜ3つに分かれているのでしょうか?
それは調査発表元と用途の違いが要因となっています。
では、それぞれどこがどの用途で発表しているのでしょうか?
次の章でそれぞれ解説していきます。
基準地価とは?
これは都道府県が調査発表している価格になります。
毎年7月1日時点に1地点につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価をもとに1㎡(1m×1mの正方形)の価格を決めて9月に発表しています。
各都道府県が選んだ基準地の価格のことで、1974年に定められた国土利用計画法に基づき、都道府県知事が毎年基準地の価格を判定しています。
その目的は適正な土地価格の形成など、公示地価の目的と同じです。
公示地価と違い、都市やその周辺地域という縛りがありませんので公示地価の補完的な指標といえます。
土地の取引時の価格の目安として用いられることが多いです。
公示地価とは?
これは国が調査発表している価格になります。
毎年1月1日時点に1地点につき不動産鑑定士2名以上による鑑定評価をもとに1㎡(1m×1mの正方形)の価格を決めて3月に発表しています。
1969年に施行された地価公示法に基づき、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業に供する土地に対する適正な補償金の額の算出等のために標準地を選定し、その正常な価格を公示するのが目的とあります。
これはバブル期のような不動産価格の乱高下を防ぐために国が土地の価格の指標をつくり公示しているものになります。
用途としては基準地価と同様に土地の取引価格の目安として用いられることが多いです。
よくニュースなどで銀座の山野楽器の土地が日本一高いと流れますが、それはこの公示地価になります。
路線価とは?
これは国税庁が調査発表している価格になります。
毎年1月1日時点に公示地価や売買実例価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額などをもとに路線(道路)に面する土地の1㎡(1m×1mの正方形)当たりの価格を決めて7月に発表します。
路線価は国税庁や市町村が算定した相続税や贈与税などの税金算出の元となる土地の価格です。
その土地が面している道路ごとに設定されている価格で、税務申告する側とそれを受ける税務署がその都度土地価格の鑑定をしなくてもお互いがスムーズに行えるように公表されています。
まとめ
基準地価 | 公示地価 | 路線価 | |
調査・発表 | 都道府県 | 国
(国土交通省土地鑑定委員会) |
国税庁 |
調査時期 | 毎年7月1日時点 | 毎年1月1日時点 | 毎年1月1日時点 |
発表時期 | 毎年9月 | 毎年3月 | 毎年7月1日 |
評価方法 | 1地点につき不動産鑑定士1名以上による鑑定評価をもとに決める | 1地点につき不動産鑑定士2名以上による鑑定評価をもとに決める | 公示地価や売買実例価格、不動産鑑定士等による鑑定評価額などをもとに決める |
調査地点 | 基準値1㎡(1m×1mの正方形)当たりの価格 | 標準値1㎡(1m×1mの正方形)当たりの価格 | 路線に面する土地の1㎡(1m×1mの正方形)当たりの価格 |
基準地価や公示地価は実際に売買されている土地の実勢価格ではありません。
あくまでも目安の価格になります。
実際の取引されている売買価格とは差がありますので不動産購入予定の方はあくまでも目安として参考にしておきましょう。
基準地価や公示地価などは公表されていますので、過去の価格の推移などを見てご自身の不動産取引などの参考に出来るのがメリットになります。
また路線価は相続時の税金計算の元となるものになりますのでご自身で所有している土地を相続するのにいくら税金が発生するのかなどの参考に出来ます。
すでに所有している方はもちろんですがこれから不動産を購入する予定の方もその場所の土地がいくらの資産価値があるのかは把握しておいて損はない情報かと思います。
全ての不動産は土地代と建物代にわける事ができ、建物代は減価償却により毎年価値が目減りしていき最終的に資産価値はゼロになります。
つまり最終的に手元に残る資産は土地代のみとなるのです。
不動産の価格について話が上がる時、基準となるのが土地代です。
建物代は先に説明した通り減価償却で目減りしていきますし、建物の材質、RC・SRC・木造などで耐用年数が変わりますので比較対象の基準になりえないのです。
そこを誤解していると正しい情報を得られないので注意が必要です。
資産が数億円を超えるような富裕層以外の一般の方の一番大きいと言える資産は不動産(自宅)となります。
ご自身の所有する不動産の資産価値が一体どれくらいなのか?一度調べてみるのもいいかもしれません。